お客様の家に入り、家事を任され、鍵を預かり、ときには子どもを預かる。家事代行やベビーシッターは、利用者の暮らしそのものに触れる仕事です。だからこそ、何をして何をしないか、何かあったときにどうするかを、始める前に書面で決めておく必要があります。このガイドでは、アトラス行政書士法人がこれまで作成・レビューしてきた家事代行・ベビーシッター・訪問型サービスの利用規約、申込書、スタッフとの業務委託契約書の実例と、条文の一次確認をもとに、家事代行を起業する方、個人で家事代行やシッターを始める方、スタッフを抱える事業者、マッチングサービスの運営者が、契約で決めておきたいことをテーマごとに詳しく整理しています。

家事代行を起業・開業する方

階段のある室内で掃除をする人

許可の要らない形で始め、約束を書面にする

自社のスタッフで家事を引き受ける家事代行は、営業の許可がなくても始められます。家政婦を紹介して家庭に雇わせる形にすると、有料職業紹介の許可が必要になります。

利用規約と申込書で、作業の範囲、料金とキャンセル料、鍵と貴重品、破損時の賠償と保険を決めておくと、最初のトラブルで事業が止まらずに済みます。

利用規約・鍵の預かりを整えたい方

手袋をした手で布を使って拭き掃除をする様子

現場で迷ったときに、立ち返れる規約にする

家事代行の契約は、仕事の完成ではなく家事の処理を約束する準委任の性質が強い契約です。作業の範囲と行わない作業、当日の追加と延長の手順を決めておきます。

鍵を預かるなら、預かり証、保管の方法、留守宅での入室の記録、紛失時の連絡と費用の負担を、規約と様式の両方で決めます。

破損・キャンセルのトラブルに備えたい方

家の鍵を手渡す手元

無効にならない上限と、根拠のあるキャンセル料

個人のお客様との契約では、事業者の責任を全部免除する条項は無効です。賠償の上限は、故意・重大な過失を除くことを明記して定めます。

キャンセル料は、解除に伴う平均的な損害を超える部分が無効になります。前日・当日などの段階を分け、説明できる額にしておきます。

スタッフに業務委託で依頼する方

ソファを掃除機で清掃するスタッフ

契約書と働き方の両方を、業務委託にそろえる

業務委託のスタッフでも、シフトを会社が決め、作業の手順を細かく指示していると、実態は雇用と判断されることがあります。契約書と実際の働き方をそろえます。

スタッフが個人なら、フリーランス法の取引条件の明示や支払期日のルールがかかります。利用者との直接取引の禁止も、期間と範囲を限って定めます。

ベビーシッターを始める方

大人と手をつないで歩く小さな子ども

届出と、子どもの安全のための確認書

居宅訪問型のベビーシッターは、預かる子どもが1人でも、原則として認可外保育施設の届出の対象です。事業の開始から1か月以内に届け出ます。

保育の前に、健康状態やアレルギー、緊急連絡先を確認書で受け取り、事故・急病のときの対応を決めておきます。子どもの生命・身体の損害の責任を制限する条項は置きません。

マッチングサービスを運営する方

キッチンで作業をする複数の人

運営者が約束することと、しないことを分ける

マッチングの運営者が契約の当事者になるのか、場を提供するだけなのかで、規約の書き方も責任も変わります。担い手が家庭に雇われる形のあっせんは、有料職業紹介に当たり得ます。

家庭の住所や子どもの健康情報を扱うサービスでは、プライバシーポリシーと、担い手への情報の渡し方も決めておきます。

このガイドの解説ページ

よくあるご質問

家事代行を始めるのに、許可は必要ですか?

自社のスタッフ(雇用又は業務委託)が利用者から家事を引き受けて作業する形なら、営業の許可は必要ありません。家政婦を紹介して家庭に雇わせ、手数料を受ける形は有料職業紹介に当たり、厚生労働大臣の許可が必要です(職業安定法30条1項)。

家事代行の利用規約に「破損の責任は負いません」と書けますか?

個人のお客様(消費者)との契約では、事業者の損害賠償責任の全部を免除する条項は無効です(消費者契約法8条1項1号)。上限を定めるなら、故意・重大な過失による損害は除くことを明記し、賠償責任保険とあわせて設計します。

家事代行の定期契約にクーリング・オフはありますか?

家事代行は特定継続的役務提供の対象の業種ではありません。ただし、お客様の自宅で勧誘して契約した場合は訪問販売、電話で勧誘して契約した場合は電話勧誘販売になり、クーリング・オフの対象になります。Webサイトでの申込みは通信販売で、クーリング・オフの制度はありません。

個人でベビーシッターを始める場合も、届出が必要ですか?

乳幼児を対象とする居宅訪問型の保育を業として行うなら、個人でも、預かる子どもが1人でも、原則として認可外保育施設の届出が必要です。事業の開始の日から1か月以内に届け出ます。親族の子だけを預かる場合など、届出が要らない場合は内閣府令で限定されています。

家事代行のスタッフを業務委託にすれば、労働基準法はかかりませんか?

労働者に当たるかどうかは、契約の名前ではなく、仕事を断る自由、指揮監督の有無、時間・場所の拘束、報酬の性格などの実態で判断されます。実態が雇用なら、業務委託契約書を交わしていても労働基準法が適用されます。

このサイトの解説は一般的な情報です。ご自身の事業に当てはめた確認や、契約書・規約の作成をご希望の方は、運営事務所のご案内をご覧ください(相談無料)。

運営事務所・ご相談のご案内

監修:アトラス行政書士法人(代表社員 荒木素子・特定行政書士) 最終確認日:2026年10月15日