ベビーシッターの届出と、開業前に確認すること

ベビーシッターは、利用者の家で子どもを預かる仕事でも、児童福祉法では「施設」の届出の対象です。開業の前に、届出と、届出に伴う義務を確認します。

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1日に預かる子どもが1人でも、親族の子だけを預かる場合などを除き、届出の対象になります。事業を始めた日から1か月以内に届け出なければなりません。

このページの要点

  • 乳幼児を対象とする居宅訪問型の保育を業として行う者は、事業の開始の日から1か月以内に、都道府県知事(政令市・中核市などは市長)に届け出る(児童福祉法59条の2第1項)。
  • 届出が要らないのは、設置者の4親等内の親族の子だけを預かる場合、店舗の利用者の子を利用中だけ預かる場合など、内閣府令で定める場合に限られる(同法施行規則49条の2)。
  • 届出事項には、提供するサービスの内容と料金、研修の受講状況、契約している保険の種類と保険金額、提携している医療機関などが含まれる(同規則49条の3)。
  • 契約が成立したら、利用者に、設置者の氏名・住所、料金、保険の内容、苦情の受付担当者などを記載した書面を遅滞なく交付する(同法59条の2の4、同規則49条の6)。

ベビーシッターは「施設」として届出の対象になる

児童福祉法は、保育所のように建物を構えて子どもを預かる場合だけでなく、保育を必要とする乳幼児の居宅で保育を行う事業(居宅訪問型保育事業)を、保育の事業の一つとして定めています(児童福祉法6条の3第11項)。市町村の認可を受けずにこの事業を行う者は、建物を持っていなくても、認可外保育施設の「設置者」として、都道府県知事への届出が必要になります(同法59条の2第1項)。政令指定都市・中核市など、届出の窓口が市になっている地域もあるので、事業を行う場所の自治体の案内を確認します。

ベビーシッターの事業は、利用者の家に出向いて子どもを預かる仕事です。届出の書類には「施設の名称」「建物その他の設備の規模及び構造」といった項目がありますが、居宅訪問型の場合は、事業所(事務所や自宅)の所在地や、保育を行う場所が利用者の居宅であることを記載する形で整理されます。書式は自治体ごとに用意されています。

ベビーシッターに関わる児童福祉法の主な義務
義務内容根拠
開始の届出事業の開始の日から1か月以内に、名称・所在地、設置者の氏名・住所、事業を開始した年月日、管理者の氏名・住所などを届け出る児童福祉法59条の2第1項、同法施行規則49条の3
変更・休廃止の届出届け出た事項の一部に変更が生じたとき、事業を廃止・休止したときは、1か月以内に届け出る同法59条の2第2項、同規則49条の4
掲示と公衆への閲覧設置者の氏名・名称、管理者の氏名などを、利用しようとする者の見やすい場所に掲示し、インターネットで公衆の閲覧に供する同法59条の2の2、同規則49条の5
契約内容の説明利用の申込みがあったら、契約の内容と履行に関する事項を説明するよう努める同法59条の2の3
契約成立時の書面交付契約が成立したら遅滞なく、設置者の氏名・住所、料金、保険の内容、苦情の受付担当者などを記載した書面を交付する同法59条の2の4、同規則49条の6
毎年の運営状況の報告毎年、運営の状況を都道府県知事に報告する同法59条の2の5、同規則49条の7

これらの義務のほか、都道府県知事は、児童の福祉のために必要があると認めるときは、報告を求め、立入調査をし、改善の勧告をし、勧告に従わないときはその旨を公表し、事業の停止を命ずることができます(同法59条)。届出は「出して終わり」ではなく、届け出た内容のとおりに運営しているかを確認される前提の手続です。

預かる子どもが1人でも、届出が必要か

以前は、1日に保育する乳幼児の数が少ない施設は届出の対象から外れていましたが、現在の施行規則は、人数で届出の要否を分けていません。届出が要らないのは、内閣府令で定める次のような場合に限られます(児童福祉法施行規則49条の2)。

  • 店舗などで商品の販売や役務の提供を行う事業者が、その間に限って顧客の子を預かる施設(その旨が約款などで明らかなもの)
  • 設置者の4親等内の親族である乳幼児だけを預かる場合
  • 設置者の親族又はこれに準ずる密接な人的関係を有する者が監護する乳幼児だけを預かる場合
  • 半年を限度として臨時に設置される施設
  • 認定こども園の連携施設を構成する保育機能施設(なお、子ども・子育て支援法の仕事・子育て両立支援事業に係る施設は、上記に当たっても届出の対象から外れません)

届出が必要かどうかの当てはめ

Q1. 預かる子どもは乳幼児(小学校就学の始期に達するまでの子)ですか?

はい居宅訪問型の保育として届出の対象になり得ます。次の問いに進みます。

いいえ小学生だけを預かる見守り・送迎などは、この届出の対象とは別の整理になります。自治体に確認します。

Q2. 預かるのは、自分の4親等内の親族の子や、親しい友人・知人の子だけですか?

はい施行規則49条の2の場合に当たり得ます(親族や親しい友人・隣人などの子に限ることを、約款などの書類で明らかにしておくことが要件です)。広く利用者を募集している場合や、不特定の人から依頼を受け始めた場合は対象になります。

いいえ次の問いに進みます。

Q3. 報酬を受けて、繰り返し保育を引き受ける予定ですか?

はい業として行うものとして、事業の開始の日から1か月以内に届け出ます。

いいえ一度きりの好意の預かりなどは対象外となり得ますが、継続するなら届出を前提に準備します。

人数の多い少ないや、個人か法人かは、届出の要否を分けません。迷う場合は、届出先の自治体に事前に相談しておくと確実です。

届出の前にそろえておくもの

届出事項には、事業の基本情報に加えて、運営の中身に関わる項目が含まれています(児童福祉法施行規則49条の3)。届出の書類を作る段階で、これらが決まっていないと書けません。届出の準備は、そのまま開業の準備になります。

届出事項と、開業前に決めておくこと
届出事項(施行規則49条の3など)開業前に決めておくこと
提供するサービスの内容と、利用者が支払う額料金表(時間単価・早朝夜間・延長・交通費・キャンセル料)と、サービスの範囲を決めた利用規約
開所している時間受け付ける時間帯と、深夜・宿泊を伴う保育を行うかどうか
保育士その他の職員の配置数と勤務の体制一人で行うか、複数のシッターを手配するか。業務委託のシッターの確保の方法
設置者・職員の研修の受講状況保育士・看護師の資格の有無、受講した研修の名称と修了の時期
保育する乳幼児に関して契約している保険の種類・保険事故・保険金額賠償責任保険・傷害保険の加入。補償の範囲と金額
提携している医療機関の名称・所在地・提携内容急病時の相談先。提携の範囲(相談のみか、受診の受入れまでか)
インターネットで情報を伝達して保護者と連絡する方法を用いる場合の送信元識別符号マッチングサイトなどを使う場合の、自分のページを特定する符号(IDなど)
過去に事業停止などの命令を受けたかどうか(該当がなければ、その旨を記載)

届出の準備で見落としやすいこと

  • 料金表は、届出に書いた内容と、利用規約・ホームページの表示を一致させます。料金の改定は変更届の対象ではありませんが(同規則49条の4)、掲示・公開の内容と毎年の報告に反映させます。
  • 保険は「加入している」だけでなく、保険の種類・保険事故・保険金額まで届出と書面に書く必要があります。保険証券の記載をそのまま写せるよう、手元に用意しておきます。
  • マッチングサイトを使う場合は、サイト上の自分のページを特定する符号(送信元識別符号)も届出事項になります。サイトを変えたら、届出先の自治体にどう扱うかを確認します。

マッチングサイトを使って開業する場合

個人のシッターがマッチングサイトに登録して仕事を受ける場合も、届出の主体はシッター本人です。国の「子どもの預かりサービスのマッチングサイトに係るガイドライン」は、マッチングサイトの利用規約に、事前の面接、身分証明書と届出の証明の提示、保育士証などの提示、研修の受講状況の提示、事業の停止命令などを受けていないことの申告、賠償責任保険への加入、預かり中の様子の報告、緊急時の対応、引渡しのときの報告などを定めるよう求めています。

サイトに登録するときには、届出書の控えの提出を求められることもあります。届出の控えは、登録先が変わっても使えるよう、手元に保管しておきます。マッチングの規約の書き方はマッチングサービスの規約で解説しています。

保育に従事する人の要件と研修

届出をした認可外保育施設には、国が定める「認可外保育施設指導監督基準」が適用され、自治体はこれに基づいて指導監督を行います。居宅訪問型の保育(ベビーシッター)では、保育に従事する全ての者が、保育士若しくは看護師の資格を持つ者か、都道府県知事等が行う研修(又はこれと同等以上と認められる研修)を修了した者であることが求められています(1日に保育する乳幼児が5人以下の施設では、従事者のうち1人以上)。届出事項に研修の受講状況が含まれているのは、このためです(児童福祉法施行規則49条の3第7号)。

研修の扱いは通知の改正で変わることがあるため、開業の前に、こども家庭庁の指導監督基準の最新の通知と、届出先の自治体の案内で、自分が受けた研修が要件を満たすかを確認します。業務委託でシッターを手配する事業者は、シッター一人ひとりの資格・研修の修了を確認する方法を、契約書で決めておく必要があります(シッターとの業務委託契約書)。

届け出た内容が変わったとき

届出をした後に、届け出た事項の一部に変更が生じたときは、変更の日から1か月以内に届け出ます(児童福祉法59条の2第2項)。事業を廃止・休止したときも同じです(同項後段)。どの事項の変更が届出の対象になるかは施行規則で定められているので、次のような変化があったときは、変更の届出が必要かを確認する習慣をつけておきます。

  • 事業所の所在地・設置者の住所が変わった
  • 屋号や法人の名称が変わった
  • 管理者が交代した
  • 保育を休む期間を設ける、又は事業をやめる

料金・保険・提携医療機関などの変更は変更届の対象ではありませんが(同規則49条の4)、契約成立時に交付する書面や掲示・公開の内容に影響します。届出の変更とあわせて、ホームページの表示、利用規約、交付する書面を同じ日に改めると、内容の食い違いを防げます。

掲示・ネットでの公開と、契約成立時の書面

届出をした設置者は、設置者の氏名又は名称、施設の管理者の氏名、サービスの内容と料金、保険の内容、提携医療機関、緊急時の対応方法、非常災害対策、虐待の防止のための措置などを、利用しようとする者の見やすい場所に掲示し、インターネットで公衆の閲覧に供しなければなりません(児童福祉法59条の2の2、同法施行規則49条の5)。インターネットでの公衆の閲覧は、独立行政法人福祉医療機構のウェブサイトへの掲載により行う仕組みです(同規則49条の5第1項)。建物を持たないベビーシッターの掲示の方法は届出先の自治体の案内に従い、あわせてホームページやプロフィール欄にも同じ内容を示しておくと確実です。

利用の契約が成立したときは、遅滞なく、次の事項を記載した書面を利用者に交付します(同法59条の2の4、同規則49条の6)。利用規約を見せただけでは足りず、契約ごとに交付する書面として用意しておくのが確実です。

契約成立時に交付する書面の記載例(ベビーシッター)
設置者の氏名・住所(個人の場合は戸籍上の氏名と住所/法人の場合は名称と所在地)
施設の名称・所在地(屋号と事業所の所在地。保育の場所は利用者の居宅)
施設の管理者の氏名(設置者と同じ場合はその旨)
提供するサービスの内容保育の日時・時間、対象のお子様、保育の内容(食事・入浴・送迎の有無など)
利用者が支払う額基本料金・延長料金・交通費・キャンセル料、支払の方法と時期
保険保険の種類(賠償責任保険・傷害保険)、保険事故、保険金額
提携している医療機関名称・所在地・提携の内容
苦情の受付担当者の氏名と連絡先

児童福祉法59条の2の4第1号・2号と、同法施行規則49条の6の各号を一覧にしたものです。書面は電磁的方法で提供できる場合もありますが、方法は届出先の案内で確認します。

開業の流れと、利用規約・書面の準備

ベビーシッターを開業するまでの流れ

  1. 開業の3か月前

    提供する保育の範囲(年齢・時間帯・送迎・宿泊の有無)と料金を決め、研修の受講の計画を立てる。賠償責任保険の見積りを取る。

  2. 開業の1か月前

    利用規約、保育の確認書(健康状態・アレルギー・緊急連絡先)、契約成立時に交付する書面、プライバシーポリシーを整える。ホームページに掲示事項を載せる準備をする。

  3. 事業の開始

    保険の開始日と事業の開始日をそろえる。最初の利用者との契約で、書面の交付と確認書の受領ができているかを確かめる。

  4. 開始から1か月以内

    都道府県知事(窓口が市の地域では市長)に届け出る。届出の控えを保管する。

  5. 毎年

    運営状況の報告を行う。料金・保険・提携医療機関の変更は、掲示・公開の内容と報告に反映させる。

届出に先立って整える利用規約と確認書の書き方は、ベビーシッターの利用規約と保育の確認書で詳しく解説しています。家庭の住所や子どもの健康情報の扱いは、家庭の情報・子どもの情報の扱いをご覧ください。

届出の控えは、利用者に示せるようにしておく

利用者の側から、シッターが届出をしているかを確認したいと求められることがあります。マッチングサイトについての国のガイドラインでも、届出の証明を示すことが、利用規約に定めるべき事項として挙げられています。受理された届出書の控えを保管し、初回の面談のときに提示できるようにしておくと、利用者の安心につながります。ホームページやプロフィールに、届出をしていること、届出先、届出の年月日を示しておく方法もあります。保護者向けの契約書に「届出の状況を確認できるようにする」ことを事業者の義務として書き、保護者には「届出の状況を確認する」ことをお願いする形にした例もあります。

自治体の利用支援・割引券の対象になるには

自治体によっては、ベビーシッターの利用料の一部を補助する事業を設けています。また、企業が従業員に配付する割引券を使える事業者になるには、別に承認を受ける必要があります。こうした仕組みの対象になる事業者の要件として、認可外保育施設の届出をしていることや、指導監督基準を満たしていることの証明を求める例が多く見られます。要件は事業ごとに異なるため、利用を見込む事業の募集要項を開業前に確認しておきます。

ご相談の場面から:ベビーシッターの開業前のご相談

保育士の資格はありませんが、ベビーシッターとして開業できますか?
資格がなくても、都道府県知事等が行う研修など、指導監督基準で認められた研修を修了していれば、保育に従事できます。研修の受講状況は届出事項でもあるため、開業前に受講を済ませておくのが確実です。
友人の子を時々預かってお礼をもらっています。届出は必要ですか?
親族やこれに準ずる密接な人的関係を有する者の子だけを預かる場合は、届出の対象から外れます。ただし、紹介で知らない家庭からも依頼を受けるようになれば対象になります。継続して有償で受けるなら、届出を前提に準備しておくことをお勧めします。
マッチングサイトに登録して仕事を受けます。届出はサイトの運営会社がするのですか?
サイトの運営会社が場を提供するだけで、シッターが利用者と直接契約する形なら、届出の主体はシッター本人です。運営会社がシッターを雇用又は業務委託で手配し、自ら利用者と契約する形なら、運営会社が設置者となります。どちらの形かは、サイトの規約で確認します。

よくあるご質問

ベビーシッターの届出は、いつまでにすればよいですか?

事業の開始の日から1か月以内に、都道府県知事(政令指定都市・中核市などでは市長が窓口の場合があります)に届け出ます(児童福祉法59条の2第1項)。開業の前に書類をそろえ、開始後すみやかに届け出るのが確実です。

1日に1人しか預からない個人のシッターでも、届出は必要ですか?

必要です。現在の制度では、預かる人数で届出の要否を分けていません。届出が要らないのは、親族の子だけを預かる場合、店舗の利用者の子を利用中だけ預かる場合、半年以内の臨時の施設などに限られます(児童福祉法施行規則49条の2)。

届出をすると、どんな義務がかかりますか?

掲示とインターネットでの公開、利用申込み時の契約内容の説明(努力義務)、契約成立時の書面の交付、毎年の運営状況の報告、届出事項の変更の届出などです。都道府県知事は、必要に応じて報告を求めたり、立入調査や改善の勧告をしたりできます(児童福祉法59条・59条の2の2〜59条の2の5)。

契約成立時に交付する書面には、何を書きますか?

設置者の氏名・住所、利用者が支払う額、施設の名称・所在地、管理者の氏名、提供するサービスの内容、保険の種類・保険事故・保険金額、提携している医療機関、苦情を受け付ける担当者の氏名と連絡先です(児童福祉法59条の2の4、同法施行規則49条の6)。

保険への加入は必須ですか?

届出事項と契約時の書面に、契約している保険の種類・保険事故・保険金額を記載することになっています。子どもを預かる事業で保険に入らずに始めることは、現実的ではありません。賠償責任保険を中心に、補償の範囲を確認して加入します。

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本ページは一般的な情報提供です。個別の事業に必要な条項は、サービスの内容、スタッフとの契約の形(雇用・業務委託)、申込みの受け方、利用者が事業者か個人かによって異なります。事務所の改訂例・ご相談の事例として紹介している内容は、アトラス行政書士法人が作成・レビューしてきた家事代行・ベビーシッター・訪問型サービスの利用規約、申込書、スタッフとの業務委託契約書などを、個別の事業者が特定できない形に整理したものです。条文は e-Gov法令検索で確認しています(最終確認日:2026年10月15日)。参考: e-Gov法令検索 / こども家庭庁 / 厚生労働省 / 消費者庁 / 特定商取引法ガイド

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